総領冬実「チェーザレ 破壊の創造者」1巻
映画「テルマエ・ロマエ」を見てきました
とっても久しぶりに映画鑑賞。
大好きな同盟原作漫画「テルマエ・ロマエ」の映画化作品を意気揚々と見てきました。

ストーリー:古代ローマ、アイデアが行き詰まり失業した浴場設計技師のルシウス(阿部寛)は、友人に誘われた公衆浴場でタイムスリップしてしまう。たどり着いた場所は、何と日本の銭湯。そこには「平たい顔族=日本人」がいて、彼は漫画家志望の真実(上戸彩)と出会う。ルシウスは日本の風呂の文化に感銘を受け、そこで浮かんだアイデアを古代ローマに持ち帰り一躍有名になっていくが……。
まて、冒頭のテルマエ風景!
ローマ人は裸は至高の美と考えていたんだぞ!
公衆浴場で男だけで寛ぐ所で皆お行儀よく腰に布とか巻いているってないって!
あいつらモロ出し恥じない人々なの!
ローマの風呂の雰囲気を出すためにもそこは、映倫とかぶっちぎってもよかったんじゃないの!?
もっと湯気とかモヤとか人影とかでさぁ…頑張るべきだったと思うね!
…と最大の不満点を付き合ってくれた人に言わなかった私の自制心を誰か褒めてくれたまえ。
映像化したもの――しかもこれは絶対に実写作品でやってこそ面白い!と熱望していた「テルマエ・ロマエ」ですが、基本、一話完結の連作ものという形体なので、それをどう2時間くらいの物に仕立て上げるのか?そこが大いに関心のあるところでした。
現代日本にとってごく普通で驚くにも値しない諸々に、過去?あるいは異世界?からの異分子ルシウスが勝手に驚愕し敗北感に打ちのめされる…というのが楽しいのであって、アクションに対してリアクションはいらない、ルシウスにツッコむのはあくまで画面の外側にいる読者/視聴者のみという構造が本作を特別面白くさせている一因だと思うのです。
なので上戸彩という現代日本の<平たい顔族>がルシウスに対してリアクションをする、古代ローマに触れるというのはちょっと違うのでは?と感じました。
原作3巻に、現代日本人とルシウスの共同作業の話はありましたが、それもやはり異色な感じなのに、そこを拡大した演出というのは、俄かには吸収しがたくあります。
なにより「テルマエ・ロマエ」に“こんなことをすると歴史が変わっちゃう!”系の展開はダメなんですって。
この話に関しては、主はあくまで古代ローマ帝国で、現代日本が従。
そういう現代人の視点を主に据えた物語展開は断じていかんと思いましたよ。
せいぜい一個人の心情としてアントニウス様が好きだから、アントニウス様の為に!とか、この道が最もハドリアヌス様の為になるからそうしたといった動機づけでいいじゃん。
まあでは、どういったまとめ方するんじゃい?と言われると、これ以外の小奇麗な方法は全然思いつかないのですが。
それにです、上戸彩が自分は模倣しただけというルシウスにかけてあげる言葉。これって漫画を読んでいて常々読者である私が「ルシウス、気にするな」と言ってあげたかった事の代弁でもあったので、そこにはちょっと嬉しくなりました。
まとめると、映画版「テルマエ・ロマエ」はやたらお金のかかったドリームものの二次創作ということでイイと思います!
以下色々と思った事。
・漫画では軽く流していたルシウスのプレッシャーがこうやって映像で見るとひしひしと伝わってきて良い。
・ハドリアヌス役の市村氏は本当にハドリアヌスって感じでした。荒々しく気難しいのだけど、どこかに繊細さと甘やかさが漂っていてすごいはまっていたと思います。
・ケイオニウス様の割の食い方に涙…。
・冒頭銭湯シーンの局部の隠し方のいかがわしさは、「ベオウルフ呪われた勇者」の隠し方のいかがわしさ・きわどさに比べたら全然修業が足りないな。
・ワニにワニと字幕を入れるセンスが…!
・戦地に温泉を設営するシーン、いくらローマ兵が疫病でばたばた倒れているからと言って、健康なのだって十分いるだろうから、日本人のよぼよぼした爺さん達でなく、兵士を100人くらい借りて来いって!あいつら土木工事のエキスパートなんだから…
・あのオペラ歌手はなんなんだ…
・イタリアだからって安直に歌劇を取り入れるのはどうなんだろう…。そんな近代の曲じゃん…アイーダなんてしかもエジプト舞台のだし。
大好きな同盟原作漫画「テルマエ・ロマエ」の映画化作品を意気揚々と見てきました。

ストーリー:古代ローマ、アイデアが行き詰まり失業した浴場設計技師のルシウス(阿部寛)は、友人に誘われた公衆浴場でタイムスリップしてしまう。たどり着いた場所は、何と日本の銭湯。そこには「平たい顔族=日本人」がいて、彼は漫画家志望の真実(上戸彩)と出会う。ルシウスは日本の風呂の文化に感銘を受け、そこで浮かんだアイデアを古代ローマに持ち帰り一躍有名になっていくが……。
まて、冒頭のテルマエ風景!
ローマ人は裸は至高の美と考えていたんだぞ!
公衆浴場で男だけで寛ぐ所で皆お行儀よく腰に布とか巻いているってないって!
あいつらモロ出し恥じない人々なの!
ローマの風呂の雰囲気を出すためにもそこは、映倫とかぶっちぎってもよかったんじゃないの!?
もっと湯気とかモヤとか人影とかでさぁ…頑張るべきだったと思うね!
…と最大の不満点を付き合ってくれた人に言わなかった私の自制心を誰か褒めてくれたまえ。
映像化したもの――しかもこれは絶対に実写作品でやってこそ面白い!と熱望していた「テルマエ・ロマエ」ですが、基本、一話完結の連作ものという形体なので、それをどう2時間くらいの物に仕立て上げるのか?そこが大いに関心のあるところでした。
現代日本にとってごく普通で驚くにも値しない諸々に、過去?あるいは異世界?からの異分子ルシウスが勝手に驚愕し敗北感に打ちのめされる…というのが楽しいのであって、アクションに対してリアクションはいらない、ルシウスにツッコむのはあくまで画面の外側にいる読者/視聴者のみという構造が本作を特別面白くさせている一因だと思うのです。
なので上戸彩という現代日本の<平たい顔族>がルシウスに対してリアクションをする、古代ローマに触れるというのはちょっと違うのでは?と感じました。
原作3巻に、現代日本人とルシウスの共同作業の話はありましたが、それもやはり異色な感じなのに、そこを拡大した演出というのは、俄かには吸収しがたくあります。
なにより「テルマエ・ロマエ」に“こんなことをすると歴史が変わっちゃう!”系の展開はダメなんですって。
この話に関しては、主はあくまで古代ローマ帝国で、現代日本が従。
そういう現代人の視点を主に据えた物語展開は断じていかんと思いましたよ。
せいぜい一個人の心情としてアントニウス様が好きだから、アントニウス様の為に!とか、この道が最もハドリアヌス様の為になるからそうしたといった動機づけでいいじゃん。
まあでは、どういったまとめ方するんじゃい?と言われると、これ以外の小奇麗な方法は全然思いつかないのですが。
それにです、上戸彩が自分は模倣しただけというルシウスにかけてあげる言葉。これって漫画を読んでいて常々読者である私が「ルシウス、気にするな」と言ってあげたかった事の代弁でもあったので、そこにはちょっと嬉しくなりました。
まとめると、映画版「テルマエ・ロマエ」はやたらお金のかかったドリームものの二次創作ということでイイと思います!
以下色々と思った事。
・漫画では軽く流していたルシウスのプレッシャーがこうやって映像で見るとひしひしと伝わってきて良い。
・ハドリアヌス役の市村氏は本当にハドリアヌスって感じでした。荒々しく気難しいのだけど、どこかに繊細さと甘やかさが漂っていてすごいはまっていたと思います。
・ケイオニウス様の割の食い方に涙…。
・冒頭銭湯シーンの局部の隠し方のいかがわしさは、「ベオウルフ呪われた勇者」の隠し方のいかがわしさ・きわどさに比べたら全然修業が足りないな。
・ワニにワニと字幕を入れるセンスが…!
・戦地に温泉を設営するシーン、いくらローマ兵が疫病でばたばた倒れているからと言って、健康なのだって十分いるだろうから、日本人のよぼよぼした爺さん達でなく、兵士を100人くらい借りて来いって!あいつら土木工事のエキスパートなんだから…
・あのオペラ歌手はなんなんだ…
・イタリアだからって安直に歌劇を取り入れるのはどうなんだろう…。そんな近代の曲じゃん…アイーダなんてしかもエジプト舞台のだし。
陸軍イメージのブレスレット
GW前半にあたった先日日曜日、友人と銀座界隈をそぞろ歩き、日本陸軍イメージのブレスレットを作ってきました。

銀座三越のイベントスペースに入っていたPANDORA(パンドラ)というブランド。
何種類もあるチャームから好きなものを選び、オリジナルのアクセサリーを作れるようになっています。
始めはお高い雰囲気のアクセサリーなどに興味ござらん!とか思っていたのですが、スタッフのお姐さんの説明を聞いている内にまんまとノセられたアホがここにおります…。
これで愛する永田局長イメージのアクセサリー作れなくない…?と思った瞬間やっちゃいました…
陸軍の星、歩兵の赤、軍衣の緑、旭日旗っぽいチャームと桜っぽいチャーム。
これ完璧旧日本陸軍だ!
本当はNとかTとか3とか16とか入れたかったのに、そういったチャームは置いてないと…しかしこれでありとあらゆる昭和の軍人をカバーできる!
永田局長であり、青年将校であり、結城中佐であり、佐久間中尉だ!
赤と緑と星なんていつもの自分だったら絶対に選ばないモチーフだとか思いつつ、隣の友人がどんな陸軍イメージのを作っているのかな…?とか思ったら、あっさり自分の好きなように可愛い青と緑のベネツィアングラスのチャームでキラキラ爽やかなブレスレットを作ってやがった…!
あまりの爽快な裏切りっぷりに大笑いです。

銀座三越のイベントスペースに入っていたPANDORA(パンドラ)というブランド。
何種類もあるチャームから好きなものを選び、オリジナルのアクセサリーを作れるようになっています。
始めはお高い雰囲気のアクセサリーなどに興味ござらん!とか思っていたのですが、スタッフのお姐さんの説明を聞いている内にまんまとノセられたアホがここにおります…。
これで愛する永田局長イメージのアクセサリー作れなくない…?と思った瞬間やっちゃいました…
陸軍の星、歩兵の赤、軍衣の緑、旭日旗っぽいチャームと桜っぽいチャーム。
これ完璧旧日本陸軍だ!
本当はNとかTとか3とか16とか入れたかったのに、そういったチャームは置いてないと…しかしこれでありとあらゆる昭和の軍人をカバーできる!
永田局長であり、青年将校であり、結城中佐であり、佐久間中尉だ!
赤と緑と星なんていつもの自分だったら絶対に選ばないモチーフだとか思いつつ、隣の友人がどんな陸軍イメージのを作っているのかな…?とか思ったら、あっさり自分の好きなように可愛い青と緑のベネツィアングラスのチャームでキラキラ爽やかなブレスレットを作ってやがった…!
あまりの爽快な裏切りっぷりに大笑いです。
テーマ : アクセサリー全般
ジャンル : ファッション・ブランド
大沢在昌「黒の狩人」
大沢在昌「黒の狩人」を読みました。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
中国人ばかりを狙った惨殺事件が続けて発生した。手がかりは、死体の脇の下に残された刺青だけ。捜査に駆り出された新宿署の刑事・佐江は、捜査補助員として謎の中国人とコンビを組まされる。そこに、外務省の美人職員・由紀が加わり、三人は事件の真相に迫ろうとするが…。裏切りと疑惑の渦の中、無数に散らばる点と点はどこで繋がるのか。


母→父→私と周ってきて、皆で大興奮した一冊。
およそ読書傾向の違う私たち三人が大絶賛する唯一の作家が大沢在昌さんなのですが、本当にすごかった。
読み始め、冒頭から怒涛の如く流動する事件の渦中に放り込まれ、息をつく暇もない展開に一時も目が離せなくなります。
リストラ間近の四課警察官、情報オタクの外務省(ノンキャリア)職員、警視庁に通訳として仮採用されたいわくありげな中国人という三人が、事件の不可解さに引き寄せられるようにして出会い、いつの間にか行き掛りチームのようになり、刻々と変わる状況にわずかな情報と捜査ノウハウで挑んでいく様に大興奮しました。
本当に先が見えない状況を、わずかなカードで切り開いていくクールさがスゴイよ。
あと大沢さんのキャラクター描写って、その行動・戦いの様子に人格の深さを伺えるのが素敵です。冗長に主人公の容貌やら、細かい性格設定やら、美点・欠点やらを語る小うるさい作品が蔓延する中、来し方の身の処し方でもって主人公の何もかもを知らしめさせる手腕にいつも感嘆します。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
中国人ばかりを狙った惨殺事件が続けて発生した。手がかりは、死体の脇の下に残された刺青だけ。捜査に駆り出された新宿署の刑事・佐江は、捜査補助員として謎の中国人とコンビを組まされる。そこに、外務省の美人職員・由紀が加わり、三人は事件の真相に迫ろうとするが…。裏切りと疑惑の渦の中、無数に散らばる点と点はどこで繋がるのか。
母→父→私と周ってきて、皆で大興奮した一冊。
およそ読書傾向の違う私たち三人が大絶賛する唯一の作家が大沢在昌さんなのですが、本当にすごかった。
読み始め、冒頭から怒涛の如く流動する事件の渦中に放り込まれ、息をつく暇もない展開に一時も目が離せなくなります。
リストラ間近の四課警察官、情報オタクの外務省(ノンキャリア)職員、警視庁に通訳として仮採用されたいわくありげな中国人という三人が、事件の不可解さに引き寄せられるようにして出会い、いつの間にか行き掛りチームのようになり、刻々と変わる状況にわずかな情報と捜査ノウハウで挑んでいく様に大興奮しました。
本当に先が見えない状況を、わずかなカードで切り開いていくクールさがスゴイよ。
あと大沢さんのキャラクター描写って、その行動・戦いの様子に人格の深さを伺えるのが素敵です。冗長に主人公の容貌やら、細かい性格設定やら、美点・欠点やらを語る小うるさい作品が蔓延する中、来し方の身の処し方でもって主人公の何もかもを知らしめさせる手腕にいつも感嘆します。
荒川弘「銀の匙」3巻
荒川弘「銀の匙」3巻を読みました。

少年誌に連載している漫画の単行本を追うなんて何年ぶりのことでしょうか。
ドロップアウトするように全寮制農業高校にやってきた八軒。
夏休みを迎え、級友御影の実家「御影牧場」でのバイトがまだ続く3巻。
八軒君、人が悩んでいることが自分が悩めるが如く思える共感性の高さと、それに向き合うための真摯さに感動します。
だから口では結構ぐちぐちと文句を垂れる事の多い彼の周りに人が寄ってくるんだろうな。
そんな八軒君の悩みを見て、正直なところ、私も食肉用の家畜に愛情を絡めて考えてもしょうがないんじゃないの?悩んだってしかたないでしょ?と、それを大人の考え方と思考停止状態でいた口なのですが、もう少し自分が日頃口にして生きている物のことに真剣に考えてみなければと思いました。
せめてこの作品「銀の匙」において、斜に構えて「ああばかだな〜」と横に流すのでなく、主人公八軒君と近い視点でもって「どうしよう」と思うようにしようと。それくらいのことですがね。
しかし八軒くん、ああいった感じで豚丼とのことに決着をつけたのか…と驚きました。
少年誌に連載している漫画の単行本を追うなんて何年ぶりのことでしょうか。
ドロップアウトするように全寮制農業高校にやってきた八軒。
夏休みを迎え、級友御影の実家「御影牧場」でのバイトがまだ続く3巻。
八軒君、人が悩んでいることが自分が悩めるが如く思える共感性の高さと、それに向き合うための真摯さに感動します。
だから口では結構ぐちぐちと文句を垂れる事の多い彼の周りに人が寄ってくるんだろうな。
そんな八軒君の悩みを見て、正直なところ、私も食肉用の家畜に愛情を絡めて考えてもしょうがないんじゃないの?悩んだってしかたないでしょ?と、それを大人の考え方と思考停止状態でいた口なのですが、もう少し自分が日頃口にして生きている物のことに真剣に考えてみなければと思いました。
せめてこの作品「銀の匙」において、斜に構えて「ああばかだな〜」と横に流すのでなく、主人公八軒君と近い視点でもって「どうしよう」と思うようにしようと。それくらいのことですがね。
しかし八軒くん、ああいった感じで豚丼とのことに決着をつけたのか…と驚きました。
森田崇「アバンチュリエ」1巻
森田崇「アバンチュリエ」1巻を読みました。

バンザイ!バンザイ!バンザーイ!!!!!
モーリス・ルブラン作「怪盗ルパン」の素敵なコミカライズ「アバンチュリエ」!
取敢えず1巻読みました!
後には2巻が控え、来週頭に3巻が出るそうです!
それよりも何よりもルパン!
アルセーヌ・ルパン!!!!
愛しているよ、ルパン!
小学校の頃からの私の憧れ、一番のアイドル、初めての恋!、今もそして恋!!!
私を決定的に二次元世界に誘った男、そして祖国なんかよりも常に連合国側を愛しちゃう理由にもなった罪な男!
明朗・闊達・快活・瀟洒・伊達・自由といった言葉がぴったりな快男児アルセーヌ・ルパン。
盗賊という犯罪者でありならら、どんな探偵・刑事よりも朗らかで楽しく陽気な彼が私は本当に大好きでした(あ、これは過去形でなく、現在完了形ですよ!)
そんなアルセーヌ・ルパンを漫画化した作品があると聞いたのですよ。
でもね、馬鹿にしていました。
ルパンの漫画家といってもルパンやホームズをモチーフに、ギャル作品とか、変なショタとか、あるいは時代考証全然変とか、変に前衛的でルパンという名の別な盗賊の話か…とかね。
ごめんなさい、なめてたよ!
一読して、「これこれこれこれこれこれこれこれこれーーーーーー!」と思いましたね。
私が幼心に思い描いていたルパンそのまんま!
自信満々、大胆不敵、でもたまに見せるお茶目なスキに激しくときめき。
ストーリーは「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」に忠実。
それを漫画らしい見せ方、あるいはルパンファンの心を本当にくすぐる原作にはあえて描かれていない部分の描写とか素晴らしすぎる。
新旧時代がせめぎあい、活気のある欧州というベル・エポックの時代のフランスの雰囲気も良く出ています。
そんな匂い立つ世界を闊歩するにふさわしい、ルパンの華やかな一挙手一投足が本当にドラマチック。
決してうまい!と際立った作画ではないのですよ。美術2(10段階評価でネ…)の私が何を偉そうに…という感じですが。でもね、若く澄明で楽しげなルパンと、欧州を描くのにこの上ない作画なんです。
本当に、この作品を出してくれてありがとう森田崇さん!
ホームズに比べてメディア展開の少なさに歯噛み、たまに映像化されても第二次世界大戦前とか、役者が変な男でシナリオはもっと変とか、悲しい事ばかりだったルパン世界に素敵なお話しを本当にありがとう!
護送車から脱獄して、無一文でカフェでワインを楽しんだ後に店長を呼びつけるシーンの素敵さ、裁判所を後にした後のルパンとガニマールのやり取り、不敵に笑うコマの一つ一つ、本当にしびれるくらいに素敵でした。
バンザイ!バンザイ!バンザーイ!!!!!
モーリス・ルブラン作「怪盗ルパン」の素敵なコミカライズ「アバンチュリエ」!
取敢えず1巻読みました!
後には2巻が控え、来週頭に3巻が出るそうです!
それよりも何よりもルパン!
アルセーヌ・ルパン!!!!
愛しているよ、ルパン!
小学校の頃からの私の憧れ、一番のアイドル、初めての恋!、今もそして恋!!!
私を決定的に二次元世界に誘った男、そして祖国なんかよりも常に連合国側を愛しちゃう理由にもなった罪な男!
明朗・闊達・快活・瀟洒・伊達・自由といった言葉がぴったりな快男児アルセーヌ・ルパン。
盗賊という犯罪者でありならら、どんな探偵・刑事よりも朗らかで楽しく陽気な彼が私は本当に大好きでした(あ、これは過去形でなく、現在完了形ですよ!)
そんなアルセーヌ・ルパンを漫画化した作品があると聞いたのですよ。
でもね、馬鹿にしていました。
ルパンの漫画家といってもルパンやホームズをモチーフに、ギャル作品とか、変なショタとか、あるいは時代考証全然変とか、変に前衛的でルパンという名の別な盗賊の話か…とかね。
ごめんなさい、なめてたよ!
一読して、「これこれこれこれこれこれこれこれこれーーーーーー!」と思いましたね。
私が幼心に思い描いていたルパンそのまんま!
自信満々、大胆不敵、でもたまに見せるお茶目なスキに激しくときめき。
ストーリーは「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」に忠実。
それを漫画らしい見せ方、あるいはルパンファンの心を本当にくすぐる原作にはあえて描かれていない部分の描写とか素晴らしすぎる。
新旧時代がせめぎあい、活気のある欧州というベル・エポックの時代のフランスの雰囲気も良く出ています。
そんな匂い立つ世界を闊歩するにふさわしい、ルパンの華やかな一挙手一投足が本当にドラマチック。
決してうまい!と際立った作画ではないのですよ。美術2(10段階評価でネ…)の私が何を偉そうに…という感じですが。でもね、若く澄明で楽しげなルパンと、欧州を描くのにこの上ない作画なんです。
本当に、この作品を出してくれてありがとう森田崇さん!
ホームズに比べてメディア展開の少なさに歯噛み、たまに映像化されても第二次世界大戦前とか、役者が変な男でシナリオはもっと変とか、悲しい事ばかりだったルパン世界に素敵なお話しを本当にありがとう!
護送車から脱獄して、無一文でカフェでワインを楽しんだ後に店長を呼びつけるシーンの素敵さ、裁判所を後にした後のルパンとガニマールのやり取り、不敵に笑うコマの一つ一つ、本当にしびれるくらいに素敵でした。
柳広司「パラダイス・ロスト」
柳広司「パラダイス・ロスト」を読みました。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
大日本帝国陸軍内に極秘裏に設立された、スパイ養成学校“D機関”。「死ぬな。殺すな。とらわれるな」-軍隊組織を真っ向から否定する戒律を持つこの機関をたった一人で作り上げた結城中佐の正体を暴こうとする男が現れた。英国タイムズ紙極東特派員アーロン・プライス。だが“魔王”結城は、まるで幽霊のように、一切足跡を残さない。ある日プライスは、ふとした発見から結城の意外な生い立ちを知ることとなるー(『追跡』)。ハワイ沖の豪華客船を舞台にしたシリーズ初の中篇「暗号名ケルベロス」を含む、全5篇。
【目次】(「BOOK」データベースより)
誤算/失楽園/追跡/暗号名ケルベロス

愛する「ジョーカー・ゲーム」シリーズの第三弾。
前作の最後で真珠湾攻撃が起こってしまい、戦時下のスパイ活動は無理と続編はないものと諦めていたら、まさかの第三弾の発売です。
「ブラックバード」より時間は少し戻り1940年、欧州で二回目の世界大戦が勃発しドイツは快進撃を続け、日英同盟は破棄され、日米関係は険悪化している時分。
情報戦がもっとも激化するであろう時期の物語です。
相変わらず面白い!
「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」で慣れたため、どこでスパイという手品のタネが飛び出てくるかは割れてしまっているので、衝撃の度合はまあはっきり言って薄れてしまっています。
ここでスパイが来るぞ来るぞ来るぞ来るぞ来たーーーーーー!みたいなね。
何となく、どういった感じかは読める。
スパイ失格ですよ、D機関!
それでも一作一作の切れ味は全然衰えていないのがすごい。
世界各地の緊迫した情勢下の中に活躍するスパイたち。
日米開戦直前の世界の情勢が本当に良く調べられているな〜と感嘆しました。
ドイツ軍占領下のパリとか、日本の侵攻直前の英領シンガポール、日米間がきな臭くなっているもののまだ戦火とは無縁の一般人から見れば穏やかな太平洋航路…などなど。
近代史に興味を持つ前までは昭和の初めなんて暗くて、統制厳しくて、モンペはかされて、バケツリレーと竹やり訓練ばかり延々とやらされるようなタルタロスの刑罰のような事ばかりだったに違いないと思っていた身には、こうして、戦争が始まる前の一般人の虚無的であるけど華やかな雰囲気を見せられると、果敢無さを感じて切なくなります。
で、そんな世界に暗躍するスパイの冷ややかさにドキドキと高揚せざるを得ない!
今作で思った事は……結城中佐成分少ないぞ!
その分、影のように暗くつかみどころがないのに、忍び寄っているところがますます魔王めいています。
でも「ジョーカー・ゲーム」や「ダブル・ジョーカー」みたいな中佐の存在感がドーン!と作品の中核にある話を一本くらい望んでいた身には寂しいよ。
中佐が平凡な軍人を冷ややかに「貴様は馬鹿か?」と切り捨てるのが本シリーズの見どころの一つなのに。
あと「ジョーカー・ゲーム」シリーズはゴルゴ13シリーズに似ているな…と思いました。
ストイックなプロフェッショナルが様々な局面に様々なアプローチで立ち現れる、もはや神話的な芳醇さすら醸す連作というところなどがよく似ています。
「誤算」
中佐の仕込んだスパイの凄さを正面から堪能させる一作。とっかかりとしてあっという間にD機関ワールドに引き込む一作でした。
世界を変える素人と、表に出ず暗躍する玄人の対比が面白い。
玄人でも、素人の世界に一瞬引き込まれるのがあるのか…という描写にちょっと切なくなったりしました。
「失楽園」
一巻に一作入っている、異国の街を舞台にした作品。
南国の楽園の宮殿といった体のラッフルズホテルの古格な雰囲気にクラクラしました。
「魔都」「仏印作戦」と同じ介入の仕方をしているのは、これはお約束だな…とニヤリ。
しかし、これの主役が私だったらD機関員の仄めかしに絶対に気づかず、ミスリードのフラグを悉く叩き折ってD機関即ち結城中佐の目論見を阻害しそうな気がします。
そうか、凡人が結城中佐に挑むには、賢くするよりもとことん愚かに徹した方が対抗の余地があるんだな…と思いましたよ。
「追跡」
結城中佐の過去!?最大の見どころ?
肉薄した!と思ったら、中佐にやられた。うん、でも謎の人物は謎のままでいいんだよね。
ともあれ中佐の仕掛けた時限爆弾はすごい。
これを読んで、ますます「ジョーカー・ゲーム」シリーズがゴルゴ13のように思えてきた一作です。
「暗号名ケルベロス」
この部分におかれている話は、「ジョーカー・ゲーム」ではXX(ダブルクロス)、「ダブル・ジョーカー」ではBB(ブラックバード)、そして本作「パラダイス・ロスト」ではCC(コード・ケルベロス)…徹底しています。
ともあれ「ジョーカー・ゲーム」シリーズ初めての中編。
暗号、エニグマ、Uボートといった欧州戦を彩るギミックをちりばめつつ、太平洋航路上の高級客船で起きた殺人にスパイが居合わせてしまい…というスパイ小説と推理小説をミックスしたとてもゴージャスな掌編。
前半のスパイの格好よさと、後半のミステリー部分と二度美味しいです。
そして「ジョーカー・ゲーム」シリーズのお約束通りに、この部分に収録される話のスパイは脱落するのですが、前二作と違って、捨て去れなかったウェットな所に足を掬われるのとは違う、自負心と好奇心が強すぎるが故にスパイ街道から逸れるという顛末。超人過ぎるとこういった躓きをするんだなと、優秀すぎる人間の陥る陥穽に目を瞠ります。
でも1940年で日本人がハワイ…ですか。
その後の苦難がうかがえて「ああああああ…!」な気分です。
もう続編はないだろうと諦めていたジョーカー・ゲームシリーズに再び出会えてうれしいです。
D機関が活躍したのは1937年の設立から、終戦の1945年という短い期間だと思うのですが、この時間の間で活躍したスパイたちの物語をまだまだ読んでみたいと思いました。
それにしても「キング&クイーン」がつまらない出来だったので、「パラダイス・ロスト」はどうなんだろうと心配でしたが本シリーズだけは抜群に面白いです!
思うに、柳広司さんって凡人を書くのが下手くそなんだな。
凡人の平凡だけど玄妙な心の動き、灰色具合が全然理解できておらず、諸々の作品がとてもつまらないけれど、だからこそ己の微々たる心のうちなどどうだっていい!と突き放したスパイたちを書かせるとこの上なく素晴らしいのが出来上がるのだと思いました。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
大日本帝国陸軍内に極秘裏に設立された、スパイ養成学校“D機関”。「死ぬな。殺すな。とらわれるな」-軍隊組織を真っ向から否定する戒律を持つこの機関をたった一人で作り上げた結城中佐の正体を暴こうとする男が現れた。英国タイムズ紙極東特派員アーロン・プライス。だが“魔王”結城は、まるで幽霊のように、一切足跡を残さない。ある日プライスは、ふとした発見から結城の意外な生い立ちを知ることとなるー(『追跡』)。ハワイ沖の豪華客船を舞台にしたシリーズ初の中篇「暗号名ケルベロス」を含む、全5篇。
【目次】(「BOOK」データベースより)
誤算/失楽園/追跡/暗号名ケルベロス
愛する「ジョーカー・ゲーム」シリーズの第三弾。
前作の最後で真珠湾攻撃が起こってしまい、戦時下のスパイ活動は無理と続編はないものと諦めていたら、まさかの第三弾の発売です。
「ブラックバード」より時間は少し戻り1940年、欧州で二回目の世界大戦が勃発しドイツは快進撃を続け、日英同盟は破棄され、日米関係は険悪化している時分。
情報戦がもっとも激化するであろう時期の物語です。
相変わらず面白い!
「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」で慣れたため、どこでスパイという手品のタネが飛び出てくるかは割れてしまっているので、衝撃の度合はまあはっきり言って薄れてしまっています。
ここでスパイが来るぞ来るぞ来るぞ来るぞ来たーーーーーー!みたいなね。
何となく、どういった感じかは読める。
スパイ失格ですよ、D機関!
それでも一作一作の切れ味は全然衰えていないのがすごい。
世界各地の緊迫した情勢下の中に活躍するスパイたち。
日米開戦直前の世界の情勢が本当に良く調べられているな〜と感嘆しました。
ドイツ軍占領下のパリとか、日本の侵攻直前の英領シンガポール、日米間がきな臭くなっているもののまだ戦火とは無縁の一般人から見れば穏やかな太平洋航路…などなど。
近代史に興味を持つ前までは昭和の初めなんて暗くて、統制厳しくて、モンペはかされて、バケツリレーと竹やり訓練ばかり延々とやらされるようなタルタロスの刑罰のような事ばかりだったに違いないと思っていた身には、こうして、戦争が始まる前の一般人の虚無的であるけど華やかな雰囲気を見せられると、果敢無さを感じて切なくなります。
で、そんな世界に暗躍するスパイの冷ややかさにドキドキと高揚せざるを得ない!
今作で思った事は……結城中佐成分少ないぞ!
その分、影のように暗くつかみどころがないのに、忍び寄っているところがますます魔王めいています。
でも「ジョーカー・ゲーム」や「ダブル・ジョーカー」みたいな中佐の存在感がドーン!と作品の中核にある話を一本くらい望んでいた身には寂しいよ。
中佐が平凡な軍人を冷ややかに「貴様は馬鹿か?」と切り捨てるのが本シリーズの見どころの一つなのに。
あと「ジョーカー・ゲーム」シリーズはゴルゴ13シリーズに似ているな…と思いました。
ストイックなプロフェッショナルが様々な局面に様々なアプローチで立ち現れる、もはや神話的な芳醇さすら醸す連作というところなどがよく似ています。
「誤算」
中佐の仕込んだスパイの凄さを正面から堪能させる一作。とっかかりとしてあっという間にD機関ワールドに引き込む一作でした。
世界を変える素人と、表に出ず暗躍する玄人の対比が面白い。
玄人でも、素人の世界に一瞬引き込まれるのがあるのか…という描写にちょっと切なくなったりしました。
「失楽園」
一巻に一作入っている、異国の街を舞台にした作品。
南国の楽園の宮殿といった体のラッフルズホテルの古格な雰囲気にクラクラしました。
「魔都」「仏印作戦」と同じ介入の仕方をしているのは、これはお約束だな…とニヤリ。
しかし、これの主役が私だったらD機関員の仄めかしに絶対に気づかず、ミスリードのフラグを悉く叩き折ってD機関即ち結城中佐の目論見を阻害しそうな気がします。
そうか、凡人が結城中佐に挑むには、賢くするよりもとことん愚かに徹した方が対抗の余地があるんだな…と思いましたよ。
「追跡」
結城中佐の過去!?最大の見どころ?
肉薄した!と思ったら、中佐にやられた。うん、でも謎の人物は謎のままでいいんだよね。
ともあれ中佐の仕掛けた時限爆弾はすごい。
これを読んで、ますます「ジョーカー・ゲーム」シリーズがゴルゴ13のように思えてきた一作です。
「暗号名ケルベロス」
この部分におかれている話は、「ジョーカー・ゲーム」ではXX(ダブルクロス)、「ダブル・ジョーカー」ではBB(ブラックバード)、そして本作「パラダイス・ロスト」ではCC(コード・ケルベロス)…徹底しています。
ともあれ「ジョーカー・ゲーム」シリーズ初めての中編。
暗号、エニグマ、Uボートといった欧州戦を彩るギミックをちりばめつつ、太平洋航路上の高級客船で起きた殺人にスパイが居合わせてしまい…というスパイ小説と推理小説をミックスしたとてもゴージャスな掌編。
前半のスパイの格好よさと、後半のミステリー部分と二度美味しいです。
そして「ジョーカー・ゲーム」シリーズのお約束通りに、この部分に収録される話のスパイは脱落するのですが、前二作と違って、捨て去れなかったウェットな所に足を掬われるのとは違う、自負心と好奇心が強すぎるが故にスパイ街道から逸れるという顛末。超人過ぎるとこういった躓きをするんだなと、優秀すぎる人間の陥る陥穽に目を瞠ります。
でも1940年で日本人がハワイ…ですか。
その後の苦難がうかがえて「ああああああ…!」な気分です。
もう続編はないだろうと諦めていたジョーカー・ゲームシリーズに再び出会えてうれしいです。
D機関が活躍したのは1937年の設立から、終戦の1945年という短い期間だと思うのですが、この時間の間で活躍したスパイたちの物語をまだまだ読んでみたいと思いました。
それにしても「キング&クイーン」がつまらない出来だったので、「パラダイス・ロスト」はどうなんだろうと心配でしたが本シリーズだけは抜群に面白いです!
思うに、柳広司さんって凡人を書くのが下手くそなんだな。
凡人の平凡だけど玄妙な心の動き、灰色具合が全然理解できておらず、諸々の作品がとてもつまらないけれど、だからこそ己の微々たる心のうちなどどうだっていい!と突き放したスパイたちを書かせるとこの上なく素晴らしいのが出来上がるのだと思いました。
パトリック・リンチ「キャリアーズ」
パトリック・リンチ「キャリアーズ」を読みました。
内容(「BOOK」データベースより)
インドネシア・スマトラ島で謎のウイルスが猛威!女性ジャーナリスト、ホリー・ベッカーは現地にいる双子の娘の身を案じて、アメリカ陸軍のカーメン・トラヴィス中佐はウイルス殱滅を期す探査隊を率いて、それぞれ“災厄の島”へ向かう。そして、カーメンのもとに送られてきた一通のアメリカ軍極秘文書のコピー…。幾重にも錯綜した謎が、スマトラのジャングルとアメリカの時空を越えて、結びついたとき、正体不明のウイルス“九日目の悪魔”の真実が明らかになる…。




nanaco☆さんに教えてもらった本作。いつもありがとうございます〜!
突如として発生した謎の疫病。
疫病が猛威を振るう地域に娘二人を行かせたホリー・ベッカーと、
疫病の発生源を突き止めるために調査隊を率いる女性軍医カーメン・トラヴァス中佐。
二人の“母”である女性が見た殺人ウイルスの発現から、収束の顛末の物語。
感染・致死率の非常に高いウイルスが猛威を振るう中、それに相対する人間の人間達のドラマなのですが、こういった人から人へ伝染する死を扱った作品でよく見る、恐怖から統制を無くした時の人間社会のヒステリックさ、狂騒、混沌、凶暴さを剥き出しにする人間の業というのとは少し違った、疲労感・倦怠感・無力感といったものをたたえたような作品でした。
広大な熱暑のジャングルの中、目に見えない微細なウイルスを求めて這いずり回る疲労感。
未知なる大自然の中から突如として発生したエイリアンのごとき存在と思っていたウィルスの出処の意外にして、無情なる真実。
これはウイルスに立ち向かった人間の誇らしい戦いの軌跡の物語などではなく、良かれと思ってやったことが意図せずして大惨事を引き起こしてしまい、どういう手も打てずに事態に流されていってしまう「どうしようもないこと」が描かれた話だなと思いました。
ダブルヒロインのホリーもカーメンもともに二児の母で、子供たちの事をこの上なく思っています。でもその愛が、容赦なく人を死に至らしめるウイルスの増殖する機能とどこが違うのか…というのを突きつけられている感じがしました。特に、ウィルスの発生源が判明してよりは。
なんか下巻の中盤以降の、探査チームの負け戦ぶりと、負け戦からどうやって撤退し降りるか…そんなどうしようもない無力さにさいなまれているように思いました。
シナリオの底流にある、どうしようもないものに向き合う様に、疲弊せざるを得ないです。
それでも、最後の最後で、さんざん突きつけられてきた、人間だってウイルスと同じじゃない?という疑問に対して、人間は増殖・繁殖したいだけじゃない、愛情は繁殖のためのメカニズムだけではないんだ…とかすかな温かかさを読者に与えて終わるのが、救いでした。
やり切れない事から逃れられない「業」みたいなものを感じる作品ですが、サスペンス性はすごい面白いです!
冒頭より、スマトラ島や、アメリカの検疫施設や、イギリスロンドンで容赦なく疫病が拡散する様の淡泊な筆致は逆に迫力があって読んでいてゾワゾワっと怖気がたちました。
読了して数日ですが、なんか、今までふつうに触っていたもの達に接触するのに、ちょっと躊躇いを覚えてしまうほどです。変な病気がついていないかしら、私の免疫機能は大丈夫かい!?って。
それだけ実生活に影響を与える、読みごたえあるドラマでした。
内容(「BOOK」データベースより)
インドネシア・スマトラ島で謎のウイルスが猛威!女性ジャーナリスト、ホリー・ベッカーは現地にいる双子の娘の身を案じて、アメリカ陸軍のカーメン・トラヴィス中佐はウイルス殱滅を期す探査隊を率いて、それぞれ“災厄の島”へ向かう。そして、カーメンのもとに送られてきた一通のアメリカ軍極秘文書のコピー…。幾重にも錯綜した謎が、スマトラのジャングルとアメリカの時空を越えて、結びついたとき、正体不明のウイルス“九日目の悪魔”の真実が明らかになる…。
nanaco☆さんに教えてもらった本作。いつもありがとうございます〜!
突如として発生した謎の疫病。
疫病が猛威を振るう地域に娘二人を行かせたホリー・ベッカーと、
疫病の発生源を突き止めるために調査隊を率いる女性軍医カーメン・トラヴァス中佐。
二人の“母”である女性が見た殺人ウイルスの発現から、収束の顛末の物語。
感染・致死率の非常に高いウイルスが猛威を振るう中、それに相対する人間の人間達のドラマなのですが、こういった人から人へ伝染する死を扱った作品でよく見る、恐怖から統制を無くした時の人間社会のヒステリックさ、狂騒、混沌、凶暴さを剥き出しにする人間の業というのとは少し違った、疲労感・倦怠感・無力感といったものをたたえたような作品でした。
広大な熱暑のジャングルの中、目に見えない微細なウイルスを求めて這いずり回る疲労感。
未知なる大自然の中から突如として発生したエイリアンのごとき存在と思っていたウィルスの出処の意外にして、無情なる真実。
これはウイルスに立ち向かった人間の誇らしい戦いの軌跡の物語などではなく、良かれと思ってやったことが意図せずして大惨事を引き起こしてしまい、どういう手も打てずに事態に流されていってしまう「どうしようもないこと」が描かれた話だなと思いました。
ダブルヒロインのホリーもカーメンもともに二児の母で、子供たちの事をこの上なく思っています。でもその愛が、容赦なく人を死に至らしめるウイルスの増殖する機能とどこが違うのか…というのを突きつけられている感じがしました。特に、ウィルスの発生源が判明してよりは。
なんか下巻の中盤以降の、探査チームの負け戦ぶりと、負け戦からどうやって撤退し降りるか…そんなどうしようもない無力さにさいなまれているように思いました。
シナリオの底流にある、どうしようもないものに向き合う様に、疲弊せざるを得ないです。
それでも、最後の最後で、さんざん突きつけられてきた、人間だってウイルスと同じじゃない?という疑問に対して、人間は増殖・繁殖したいだけじゃない、愛情は繁殖のためのメカニズムだけではないんだ…とかすかな温かかさを読者に与えて終わるのが、救いでした。
やり切れない事から逃れられない「業」みたいなものを感じる作品ですが、サスペンス性はすごい面白いです!
冒頭より、スマトラ島や、アメリカの検疫施設や、イギリスロンドンで容赦なく疫病が拡散する様の淡泊な筆致は逆に迫力があって読んでいてゾワゾワっと怖気がたちました。
読了して数日ですが、なんか、今までふつうに触っていたもの達に接触するのに、ちょっと躊躇いを覚えてしまうほどです。変な病気がついていないかしら、私の免疫機能は大丈夫かい!?って。
それだけ実生活に影響を与える、読みごたえあるドラマでした。
尚月地「艶漢(アデカン)」2〜4巻
尚月地「艶漢(アデカン)」2〜4巻を読みました。


美麗な表紙通りに若干女性向けな耽美さで、
グロテスクさで、
そんでもって女性同士の葛藤の描写は生々しくてえげつなく、
そしてなによりも、よもやこの表紙で!?と思うほどのギャグ!
不思議〜なバランスの架空和風19世紀末ロンドン…みたいな……。
初期の伯爵カインシリーズの、和テイストみたいだなと思いました。
それはともかく、やはり耽美路線に行くためか(←偏見…)危険な絡みの多い詩郎の過去の因縁と戦いがメインになっていき、正道を行くお巡りさんである光路郎はだんだん出番が少なくなって行きました。
この埒外さ加減、「少女革命ウテナ」のウテナと同レベルだよ…切ない。
でもそれ以上に光路郎の気持ちのいい人間ぶりに、詩郎が彼を、巻き込みたくない、遠ざけておきたい!、自分の過去を知られたくない、甘えてしまいたい…と思ってしまうのも当然だなとも感じます。
だから登場率が少なくとも、それも仕方ないというか、詩郎の心理からすると当然の流れかもしれません。悲しいですが。
しかしそのうち、光路郎を思い遠ざけようとする詩郎と、詩郎を守りたいと危険に身をさらそうとするであろう光路郎と、思いあうが故のすれ違い、齟齬から大変な事になっていきそうな予感がぷんぷんします。
ゆったりペースで刊行の「艶漢」、これからどうなっていくのかますます気になりました。
美麗な表紙通りに若干女性向けな耽美さで、
グロテスクさで、
そんでもって女性同士の葛藤の描写は生々しくてえげつなく、
そしてなによりも、よもやこの表紙で!?と思うほどのギャグ!
不思議〜なバランスの架空和風19世紀末ロンドン…みたいな……。
初期の伯爵カインシリーズの、和テイストみたいだなと思いました。
それはともかく、やはり耽美路線に行くためか(←偏見…)危険な絡みの多い詩郎の過去の因縁と戦いがメインになっていき、正道を行くお巡りさんである光路郎はだんだん出番が少なくなって行きました。
この埒外さ加減、「少女革命ウテナ」のウテナと同レベルだよ…切ない。
でもそれ以上に光路郎の気持ちのいい人間ぶりに、詩郎が彼を、巻き込みたくない、遠ざけておきたい!、自分の過去を知られたくない、甘えてしまいたい…と思ってしまうのも当然だなとも感じます。
だから登場率が少なくとも、それも仕方ないというか、詩郎の心理からすると当然の流れかもしれません。悲しいですが。
しかしそのうち、光路郎を思い遠ざけようとする詩郎と、詩郎を守りたいと危険に身をさらそうとするであろう光路郎と、思いあうが故のすれ違い、齟齬から大変な事になっていきそうな予感がぷんぷんします。
ゆったりペースで刊行の「艶漢」、これからどうなっていくのかますます気になりました。
尚月地「艶漢(アデカン)」1巻
尚月地「艶漢(アデカン)」1巻を読みました。
書店で見かけるたびに気になっていた本書。
苦手な耽美〜な雰囲気がぷんぷんとしているのですが、表紙にいる将校さんだか巡査さんだかっぽい気骨ある雰囲気の男児のビジュアルに惹かれてやみませんでしたよ。
なんか私が理想とする古き良き青年将校って感じが漂ってきてるんです。制帽萌えっ!
近現代に心を焦がされる身にはどうしても目をそらせないんだよ。
ビジュアルの艶麗優美さは高畠華宵の美少年・美少女画のような趣です。本当に背筋が冷える美しさ。
作品世界は架空の和風19世紀末英国という風情で、読んでいると酩酊してくるような濃厚な……でもギャグが冴えている!
こ れ は 綺 麗 な 「銀 魂 」だ !!
というか光路郎が綺麗な近藤さんにしか見えない!
光路郎素敵!
表紙で私の心をわしづかみにした、制帽のお兄さん、光路郎にまんまと惚れました!
堅物で道徳心の塊だけど、杓子定規で規則さえ守っていればいいという検察や法家の人間とは違う、人の弱さ、悲しさ、業を自然と包み癒してしまう男気が素敵すぎます。
主役の詩郎も、自堕落で耽美で露出高めで飄々としていながら芯は強靭な所が、斜に構えただけの男とは違う深さがあって興味深いです。
正道を行く光路郎と、日の当たらない道を進んできた詩郎の「相棒」的な感じがいいのですが、3話から出てきた詩郎と因縁ありそうな男とその背後の組織を思うと、この先の物語はどうあっても詩郎と過去との戦いがメインになっていきそうなので、なんかパターンとして光路郎が本筋の埒外におかれていきそうな予感がぷんぷんとして切ないなー…。
無理とわかっていても連作ドラマ「相棒」的な筋を期待してしまういます。
光路郎は強いけど普通の人間で、詩郎はじめとする変な組織は特異な肉体をもった集団みたいだし。
光路郎、どうか話に食いついて行っておくれ!
書店で見かけるたびに気になっていた本書。
苦手な耽美〜な雰囲気がぷんぷんとしているのですが、表紙にいる将校さんだか巡査さんだかっぽい気骨ある雰囲気の男児のビジュアルに惹かれてやみませんでしたよ。
なんか私が理想とする古き良き青年将校って感じが漂ってきてるんです。制帽萌えっ!
近現代に心を焦がされる身にはどうしても目をそらせないんだよ。
ビジュアルの艶麗優美さは高畠華宵の美少年・美少女画のような趣です。本当に背筋が冷える美しさ。
作品世界は架空の和風19世紀末英国という風情で、読んでいると酩酊してくるような濃厚な……でもギャグが冴えている!
こ れ は 綺 麗 な 「銀 魂 」だ !!
というか光路郎が綺麗な近藤さんにしか見えない!
光路郎素敵!
表紙で私の心をわしづかみにした、制帽のお兄さん、光路郎にまんまと惚れました!
堅物で道徳心の塊だけど、杓子定規で規則さえ守っていればいいという検察や法家の人間とは違う、人の弱さ、悲しさ、業を自然と包み癒してしまう男気が素敵すぎます。
主役の詩郎も、自堕落で耽美で露出高めで飄々としていながら芯は強靭な所が、斜に構えただけの男とは違う深さがあって興味深いです。
正道を行く光路郎と、日の当たらない道を進んできた詩郎の「相棒」的な感じがいいのですが、3話から出てきた詩郎と因縁ありそうな男とその背後の組織を思うと、この先の物語はどうあっても詩郎と過去との戦いがメインになっていきそうなので、なんかパターンとして光路郎が本筋の埒外におかれていきそうな予感がぷんぷんとして切ないなー…。
無理とわかっていても連作ドラマ「相棒」的な筋を期待してしまういます。
光路郎は強いけど普通の人間で、詩郎はじめとする変な組織は特異な肉体をもった集団みたいだし。
光路郎、どうか話に食いついて行っておくれ!



