先日、母と東京の美術館・博物館めぐりをしてきました。
ルートは、
皇居の三の丸尚蔵館→東京国立近代美術館工芸館→東京国立近代美術館
です。
三の丸尚蔵館では「ひろげる,たのしむ,小粋な日本画−近代画帖の美」という展覧会を開催中でした。
画帖とは,一人,又は複数の画家の絵を台紙に貼り込み,一帖の折本に仕立てた絵画作品の一つの形式だそうです。今で言う所の画集の生原稿版でしょうか
明治以降、画壇では皇室の慶事のごとに天皇や皇后、皇太子といった方々にこの画帖を献上してきたそうです。
その献上品の画帖を展覧会で公開してくれています。
画帖に連なる、当代の錚々たる顔ぶれにまず感歎します。
日本の画家といったら雪舟と若冲と丸山応挙と狩野永徳と横山大観と藤田嗣治と山下清レベルくらいの知識しかない私でも溜息をつくくらいの面々の生の絵を重ねても献上されるなんてすごいな、皇室!ですよ。
近代の日本画が大好きな母は、どれもこれも穴が開くくらいに魅入っていましたし、知識も審美眼もナシな私から見て格調高さを感じました。本当にあほっぽい書き方でスマン…知識がまるでないから、受容するキャパが果てしなく少なくて。
動物を描くことに定評があるという画家のものした墨絵のリスが可愛く、そして白黒の絵からリスの柔毛が、まるで触ったようにリアルに感じられて、その一点からも、これら連作に連ねる人々の技量の高さを思わずにはいられません。

売店で若冲のポストカードを購入。
日本画では若冲が一番好きです。日本画というよりも、17世紀欧州の装飾画のような絢爛さにひかれます(テレビで見た、フリードリッヒ大王の宮廷にあった飾りがこんな感じでした)。
皇居内をそぞろ歩き、北詰門を通り国立近代美術館の工芸館へ。
ここでやっている「しまシマ工芸館」を見学。
異なる色の線が交互にあらわれてダイナミックな表面構造をなす縞模様。単純でありながら強い印象をもたらすことから、衣服から道路標示まで、私たちの生活のあらゆるシーンに浸透しています。
工芸館の夏の所蔵作品展は、毎年、子どもも大人もいっしょに楽しめるテーマで開催してきました。今年の夏の展覧会では、この縞模様に注目します。
「縞」はもともと、「渡りもの」や「島もの」、「島布」などと呼ばれ、南蛮貿易によってインドや東南アジアなどの遠方の島々からもたらされた、色とりどりの筋模様の織物を意味していました。こうした経緯からうかがわれるように、縞はとりわけ染織と関係が深い模様と言えます。
しかし、広く工芸の領域を見渡してみると、曲輪(漆工)や練り上げ手(陶磁器)など、染織以外のフィールドでも、縞模様と相性のよい技法が見出せます。さらに、こうした技法を表現の手段として、工芸作家たちは、独特の縞模様を数多く生み出してきました。素材と技法、そして縞模様の調和のなかに、それぞれの作品世界が広がっています。
タテシマ、ヨコシマ、コウシジマ・・・今年の夏は、工芸館でシマ廻りの旅に出かけてみませんか?(公式サイトより)
…とのことで、とにかく様々な縞模様に溢れた展示でした。
美しい木目の工芸品、幾何学的な螺鈿細工、縞の織物、カットにより縞模様が浮き出てくるクリスタル、細かい籤を組んで作られた籠、玄妙な色合いが連続する陶器……
よくある美術館に飾られているような前衛的・思想的すぎず、日常的なものよりもはるかに洗練された余裕ある感じが見ていてとても心地が良いです。
これらのなかから例えば、一個だけでも、普段使いに使うことができたら、何気ない日常の所作が、特別な儀式に昇格させるゆとりをくれそうだな…と思います。
工芸品なのに、研ぎ澄まされた美意識で作りだされるとここまで美しいものになるのか…と知りました。
……けどね。
私にとって重要なのはそこじゃない。
はっきり言って、シマシマとかどうでもいい!シマなんてシマウマとか星条旗とかに任せておけば良いんだよ!
ここ、国立近代美術館―工芸館というのはですね……

戦前戦中は帝国陸軍の近衛師団の司令部だった場所なのですよ!
先に、工芸品だけど美意識の結晶だから美しいとか、日常使いしたらスペシャルに差別化が図れる!とかもっともらしいことを書きましたが、正直、「ここを禁門守護の衛士達がたむろしたのね…!」とか、「宮城事件の舞台!」「森師団長!」とか、「ここが執務室だったに違いない、こんな居心地のいい籐の椅子とかおいてんじゃねーよ!執務室を再現しようよ!なにがアンケートにご協力くださいだよ!」とか想像して萌え萌えしていました。
時は8月13日、宮城事件や玉音放送の日が間近に迫った時に、ここにいる事が感慨深いです。
だからね………ファザード手前に変なオブジェをおくのはやめて下さいお願いします。あのうにょうにょしたのは小腸みたいで気持ち悪いです。
ここではもちろん、近衛師団司令部 工芸館の外観のポストカードを購入。
工芸館を後にして、近くの東京国立近代美術館へ。
工芸館で「しまシマ工芸館」のチケットを払ってしまった後で、東京国立近代美術館のチケット一枚で工芸館も観賞できる事を知りテンション下がる母と娘。情弱の見本を笑うが良い!
近代美術館と名の通り、明治時代から現代までの美術品を収蔵し、展示している美術館です。
日本の近代美術史に名をはせた顔ぶれの作品が飾ってあ…る、そうです…母が言うには。
先にも述べたお降り、ワタクシ、日本の近代芸術は全く詳しくないので、ここで知っている名前は横山大観、藤田嗣治、岸田劉生、高村光太郎くらいのものという無知・無教養ぶりです。
そして恥ずかしながらワタクシ、日本人の近代絵画というものが苦手なのです。
いつも嘯いているとおり、私が絵を見るのは好きなギリシャ神話やキリスト教の宗教画をお気に入りのイラストを見るようなつもりで楽しむという軽いスタンスな為、それらをテーマにした作品が無いというだけで士気はあまり上がらず。
それよりなにより、敬遠してしまうのは
中学の時美術の資料集で見た……

どーん!!

ばーん!!!
岸田劉生「麗子微笑」と青木繁「海の幸」にビビったためです。
若い心から見ると、なんだか禍々しい上、二つの絵が、鉄壁の守護神の軌跡のセーブよろしく、私が近代日本美術方面に入るのを阻んだとしか思えん!
この東京国立近代美術館にもいたよ!麗子が!
こちらの麗子はだいぶ愛らしくて見ていて顔が綻ぶような愛らしさですが、それでもやはり麗子の呪いは強いです。
そんなわけで、イマイチ乗りきれず、東京国立近代美術館では、サーっと流し見してあとは椅子に腰かけてボーっとしているという色々と勿体ない過ごし方をしました。
ただ和田三造という画科のロマン主義っぽい雰囲気の作品「南風」という、海上で遭難した筏の乗員達を描いた作品が気に入りました。

ジェリコーの「メデューズ号の筏」のようなテーマと構図に興味を惹かれ、そして中央の人物の逞しい胸に萌え萌え(スマン…芸術をあくまでも個人の下心でしか見れない貧しい私を許してください神様)
母は私と大違いに近代日本美術が大好きな人間なので、ここを大いに堪能しつくしておりました。
色々な画家のことがすごい詳しくてびっくり。
趣味は広く、教養の深い人間だとは常々思っていたのですがこちらの方面にも興味を持っていることは初めて知りましたよ。
そして「麗子微笑」も「海の幸」も大好きだそうです。
あの鉄壁をかいくぐるとは何というファンタジスタ!
還暦越えても、母のように知的好奇心の衰えない女性になりたいというのが、私の目標です。
しかしこの日回った美術館はどれも入館料が安くて驚きです。
いつも私が足を運ぶ、海外からのレンタル品を観賞する特別展とは違う、各館のコレクションの展示だとここまで安価に美術を楽しめるのですね。神話画や宗教画・歴史画を気軽に目に出来る欧州人どもが妬ましい……!
この後、地下鉄を乗りついで両国の江戸東京博物館に行って来たのですが、それまで回った3つの美術館とは違い激込みだったので碌に観賞出来ず逃げるようにして帰ってきました。
東京って楽しいなァ。
今はそぞろ歩くのが命がけの季節ですが、もう少し涼しくなったらあっちこっちをお散歩してみたいです。
ルートは、
皇居の三の丸尚蔵館→東京国立近代美術館工芸館→東京国立近代美術館
です。
三の丸尚蔵館では「ひろげる,たのしむ,小粋な日本画−近代画帖の美」という展覧会を開催中でした。
画帖とは,一人,又は複数の画家の絵を台紙に貼り込み,一帖の折本に仕立てた絵画作品の一つの形式だそうです。今で言う所の画集の生原稿版でしょうか
明治以降、画壇では皇室の慶事のごとに天皇や皇后、皇太子といった方々にこの画帖を献上してきたそうです。
その献上品の画帖を展覧会で公開してくれています。
画帖に連なる、当代の錚々たる顔ぶれにまず感歎します。
日本の画家といったら雪舟と若冲と丸山応挙と狩野永徳と横山大観と藤田嗣治と山下清レベルくらいの知識しかない私でも溜息をつくくらいの面々の生の絵を重ねても献上されるなんてすごいな、皇室!ですよ。
近代の日本画が大好きな母は、どれもこれも穴が開くくらいに魅入っていましたし、知識も審美眼もナシな私から見て格調高さを感じました。本当にあほっぽい書き方でスマン…知識がまるでないから、受容するキャパが果てしなく少なくて。
動物を描くことに定評があるという画家のものした墨絵のリスが可愛く、そして白黒の絵からリスの柔毛が、まるで触ったようにリアルに感じられて、その一点からも、これら連作に連ねる人々の技量の高さを思わずにはいられません。

売店で若冲のポストカードを購入。
日本画では若冲が一番好きです。日本画というよりも、17世紀欧州の装飾画のような絢爛さにひかれます(テレビで見た、フリードリッヒ大王の宮廷にあった飾りがこんな感じでした)。
皇居内をそぞろ歩き、北詰門を通り国立近代美術館の工芸館へ。
ここでやっている「しまシマ工芸館」を見学。
異なる色の線が交互にあらわれてダイナミックな表面構造をなす縞模様。単純でありながら強い印象をもたらすことから、衣服から道路標示まで、私たちの生活のあらゆるシーンに浸透しています。
工芸館の夏の所蔵作品展は、毎年、子どもも大人もいっしょに楽しめるテーマで開催してきました。今年の夏の展覧会では、この縞模様に注目します。
「縞」はもともと、「渡りもの」や「島もの」、「島布」などと呼ばれ、南蛮貿易によってインドや東南アジアなどの遠方の島々からもたらされた、色とりどりの筋模様の織物を意味していました。こうした経緯からうかがわれるように、縞はとりわけ染織と関係が深い模様と言えます。
しかし、広く工芸の領域を見渡してみると、曲輪(漆工)や練り上げ手(陶磁器)など、染織以外のフィールドでも、縞模様と相性のよい技法が見出せます。さらに、こうした技法を表現の手段として、工芸作家たちは、独特の縞模様を数多く生み出してきました。素材と技法、そして縞模様の調和のなかに、それぞれの作品世界が広がっています。
タテシマ、ヨコシマ、コウシジマ・・・今年の夏は、工芸館でシマ廻りの旅に出かけてみませんか?(公式サイトより)
…とのことで、とにかく様々な縞模様に溢れた展示でした。
美しい木目の工芸品、幾何学的な螺鈿細工、縞の織物、カットにより縞模様が浮き出てくるクリスタル、細かい籤を組んで作られた籠、玄妙な色合いが連続する陶器……
よくある美術館に飾られているような前衛的・思想的すぎず、日常的なものよりもはるかに洗練された余裕ある感じが見ていてとても心地が良いです。
これらのなかから例えば、一個だけでも、普段使いに使うことができたら、何気ない日常の所作が、特別な儀式に昇格させるゆとりをくれそうだな…と思います。
工芸品なのに、研ぎ澄まされた美意識で作りだされるとここまで美しいものになるのか…と知りました。
……けどね。
私にとって重要なのはそこじゃない。
はっきり言って、シマシマとかどうでもいい!シマなんてシマウマとか星条旗とかに任せておけば良いんだよ!
ここ、国立近代美術館―工芸館というのはですね……

戦前戦中は帝国陸軍の近衛師団の司令部だった場所なのですよ!
先に、工芸品だけど美意識の結晶だから美しいとか、日常使いしたらスペシャルに差別化が図れる!とかもっともらしいことを書きましたが、正直、「ここを禁門守護の衛士達がたむろしたのね…!」とか、「宮城事件の舞台!」「森師団長!」とか、「ここが執務室だったに違いない、こんな居心地のいい籐の椅子とかおいてんじゃねーよ!執務室を再現しようよ!なにがアンケートにご協力くださいだよ!」とか想像して萌え萌えしていました。
時は8月13日、宮城事件や玉音放送の日が間近に迫った時に、ここにいる事が感慨深いです。
だからね………ファザード手前に変なオブジェをおくのはやめて下さいお願いします。あのうにょうにょしたのは小腸みたいで気持ち悪いです。
ここではもちろん、
工芸館を後にして、近くの東京国立近代美術館へ。
工芸館で「しまシマ工芸館」のチケットを払ってしまった後で、東京国立近代美術館のチケット一枚で工芸館も観賞できる事を知りテンション下がる母と娘。情弱の見本を笑うが良い!
近代美術館と名の通り、明治時代から現代までの美術品を収蔵し、展示している美術館です。
日本の近代美術史に名をはせた顔ぶれの作品が飾ってあ…る、そうです…母が言うには。
先にも述べたお降り、ワタクシ、日本の近代芸術は全く詳しくないので、ここで知っている名前は横山大観、藤田嗣治、岸田劉生、高村光太郎くらいのものという無知・無教養ぶりです。
そして恥ずかしながらワタクシ、日本人の近代絵画というものが苦手なのです。
いつも嘯いているとおり、私が絵を見るのは好きなギリシャ神話やキリスト教の宗教画をお気に入りのイラストを見るようなつもりで楽しむという軽いスタンスな為、それらをテーマにした作品が無いというだけで士気はあまり上がらず。
それよりなにより、敬遠してしまうのは
中学の時美術の資料集で見た……

どーん!!

ばーん!!!
岸田劉生「麗子微笑」と青木繁「海の幸」にビビったためです。
若い心から見ると、なんだか禍々しい上、二つの絵が、鉄壁の守護神の軌跡のセーブよろしく、私が近代日本美術方面に入るのを阻んだとしか思えん!
この東京国立近代美術館にもいたよ!麗子が!
こちらの麗子はだいぶ愛らしくて見ていて顔が綻ぶような愛らしさですが、それでもやはり麗子の呪いは強いです。
そんなわけで、イマイチ乗りきれず、東京国立近代美術館では、サーっと流し見してあとは椅子に腰かけてボーっとしているという色々と勿体ない過ごし方をしました。
ただ和田三造という画科のロマン主義っぽい雰囲気の作品「南風」という、海上で遭難した筏の乗員達を描いた作品が気に入りました。

ジェリコーの「メデューズ号の筏」のようなテーマと構図に興味を惹かれ、そして中央の人物の逞しい胸に萌え萌え(スマン…芸術をあくまでも個人の下心でしか見れない貧しい私を許してください神様)
母は私と大違いに近代日本美術が大好きな人間なので、ここを大いに堪能しつくしておりました。
色々な画家のことがすごい詳しくてびっくり。
趣味は広く、教養の深い人間だとは常々思っていたのですがこちらの方面にも興味を持っていることは初めて知りましたよ。
そして「麗子微笑」も「海の幸」も大好きだそうです。
あの鉄壁をかいくぐるとは何というファンタジスタ!
還暦越えても、母のように知的好奇心の衰えない女性になりたいというのが、私の目標です。
しかしこの日回った美術館はどれも入館料が安くて驚きです。
いつも私が足を運ぶ、海外からのレンタル品を観賞する特別展とは違う、各館のコレクションの展示だとここまで安価に美術を楽しめるのですね。神話画や宗教画・歴史画を気軽に目に出来る欧州人どもが妬ましい……!
この後、地下鉄を乗りついで両国の江戸東京博物館に行って来たのですが、それまで回った3つの美術館とは違い激込みだったので碌に観賞出来ず逃げるようにして帰ってきました。
東京って楽しいなァ。
今はそぞろ歩くのが命がけの季節ですが、もう少し涼しくなったらあっちこっちをお散歩してみたいです。
テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術



